Project Story 01 金融機関の基幹システム刷新プロジェクト

金融領域の知見やノウハウを
武器に挑んだ大規模開発

IT技術を活用しお客様の業務を支える電通総研テクノロジー。様々な業界の案件に携わる中、2018年夏より開始したのが、「金融機関の基幹システム刷新プロジェクト」だ。本プロジェクトは、約3年間にわたる開発期間を経て、現在もエンハンス開発、保守が行われている。期間、費用、参画メンバーなど、すべてにおいて社内でも最大規模で進められた本プロジェクトは、電通総研テクノロジーにとっても未知の領域が多く、大きな挑戦でもあった。こうした中で、一体どのような困難に挑み、どのような価値を得ることができたのか、その裏側に迫る。
- 構築期間:2018年8月~2021年10月
- 社内メンバー数:最大約50名
かつてない最大規模のプロジェクトを成功させるために
長く使われてきた中で追加開発を繰り返し、複雑化した基幹システムをどう刷新するか。これがお客様の抱えていた課題だった。対象システムは業務への影響度合いが大きく大規模なシステムな上、本番障害を起こすことがあってはならないという、難易度の高いプロジェクトであった。そこで金融系プロジェクトの知見や実績の多さが認められ、電通総研テクノロジーの参画が叶った。
システムの基本設計フェーズからチームリーダーとして携わり、ユーザー向けの教育、さらにはリリース後の保守運用を率いてきたのがK.Kだ。「金融機関の基幹システムのほぼ全機能を刷新していく。それが、このプロジェクトにおける私たちの使命です。非常に大規模なプロジェクトであったことから、開発体制は当社含め7社。中でも当社は、コア業務となるお金の支払機能、回収機能、入出金機能などを担当し、基本設計を進めていきました。また、本プロジェクトには、金融業務の専門知識が必須です。そのため、システム開発の難易度も高く、他社で対応しきれない課題などは私たちが引き受けることで、徐々にその業務範囲を広げていきました。」
こうして始まった基幹システム刷新プロジェクト。当社の技術力を総動員し、過去最大規模のシステム開発を行う過程には、お客様に真摯に向き合うエンジニアたちの姿があった。

会社や役割を超えて、プロジェクトチーム一丸となって進む
システム基本設計フェーズより参画し、さらにエンハンス開発では現場の責任者であるプロジェクトマネージャーとしてメンバーを率いてきたN.H。このプロジェクトに挑むにあたり、最適な処理方式を考えること、そしてチームメンバーの足並みを揃えていくことに特に注力したという。「扱っていたものが基幹システムということもあり、その影響範囲が多岐にわたっていたため、あらゆる側面を熟考した上で開発を行う必要がありました。また行き詰った際は、電通総研やお客様との会議を重ねながら、過去プロジェクトの知見を基にあらゆる方法を模索し検討を行い、対応方針が決まった際は、ポイントを絞った資料を作成し迅速にメンバーに展開しました。そうしてメンバーと足並みを揃えることで、成果物の品質を担保することができました。」
また、開発フェーズより参画し、エンハンス開発では欠陥対応などを担うN.Iも機能が及ぼす影響範囲の広さ、さらには考慮すべきパターンの多さに頭を悩ませたという。「私が主に担当していたのは、お客様のコア業務とも言える、融資や利息の計算などお金の明細を出力していく機能です。他機能への影響、実用性、保守性を考慮しつつ、考えられるあらゆるパターンを洗い出し検証しました。大変苦戦しましたが、結果として確実なシステムをつくり上げることにつながりましたし、調査力・推察力といった『考える力』がより高められたと実感しています。」
一方、若手メンバーたちは金融システムならではの難しさを感じていた。開発からテスト、さらにはエンハンス開発を担当するR.Hだ。「金融機関のシステムであるため、金融用語の理解は必須ですが、それがとても難しくて。さらに、用語に限らずお客様の金融業務をすべて把握しなければならなかったことも大変でした。」システム内の欠陥対応を中心にプロジェクトに携わるT.Mも金融業務や用語の理解に苦労したと振り返る。「入社して初めての仕事が本プロジェクトでした。初めてこのシステムを見た際、金融業務の複雑さと規模の大きさに圧倒されたことを覚えています。まずは、この仕組みを理解することが先決だと考え、作業を行う度に、各機能に対して深掘りすることを意識していましたね。」

お客様に寄り添い無我夢中で走り抜けた経験は、必ず未来に活きる
約3年という長い月日を経て、システムがリリース。その後も、電通総研テクノロジーはエンハンス開発や保守を担い、より一層使いやすいシステムを追求し続けている。こうしたプロジェクトを一貫して経験したことにより、得られた価値は数多いとK.Kは語る。「パートナー企業の方も含めて当社からも最大50名ほどが携わったこのプロジェクトで、私も20名ほどのチームメンバーのマネジメントを行ってきました。社内外の方を巻き込んだ大規模なマネジメントの経験は、自らの成長にもつながりましたし、会社のノウハウとしても蓄積できたと感じています。また、プロジェクトを通じて様々な取り組みができたことで、組織としての強みや弱みも知ることができました。その上、若手の育成の場にもなり、開発だけでなく人との調整や連携など、全員が多くのことを学べたのではないかと感じています。」
さらに、メンバー全員がプロジェクトに対して誠実に取り組んだからこそ、現在の保守フェーズにおいてもお客様から多大なる信頼を得られているのだと、N.Hは強く実感している。「大変なことも多々ありましたが、困難な状況でも粘り強く諦めずに、お客様に寄り添いながら品質に拘ったシステムを追求してきました。結果として今もこうしてお客様から安心して保守を任せていただいていることが、プロジェクト成功の証なのだと感じています。お客様とのお付き合いは、リリースして終わりではありません。世の中は日々変化し、技術も進化していますので、お客様がシステムを使い始める時が本当の意味でのスタートだと思っています。」
今後も、システムの安定稼働と利便性向上を支援し、顧客への価値創造をもたらすための彼らの努力は続いていく。
